2013年2月
無補給単独徒歩で北極点へ!北極冒険家・荻田 泰永さんインタビュー
荻田 泰永(おぎた・やすなが)さんは北極点を目指す冒険家。
しかも成功すれば世界で三人目、日本人では初となる、無補給単独徒歩での挑戦です。
そんな快挙を目指す荻田さんに、冒険家となったきっかけや冒険への思い、今後の活動などをお伺いしました。
北極点無補給単独徒歩到達 :
北極点まで、途中飛行機による物資の再補給を受けずに一人で歩き切る、極地冒険の最高峰。
冒険家になったきっかけをお聞かせください。
一番最初のきっかけは、大場満郎さんのテレビ番組。番組の中で彼が北極行きの若者を募集していたので、早速、手紙を書きました。応募して採用が決まりました。大学3年生の時でした。
それまで北極にはまったく興味はありませんでしたが、何か今の自分を変えたかった。目標がなかったのです。でも、何かをやりたかった。
その時の北極行きで、大きな人生の目標を得たように感じました。それから自然と興味が北極圏へと向いていきました。
体力はどのように鍛えていったのでしょうか?どのようなトレーニングをしたのでしょうか?
最初の北極は、あまりなかったです。短い期間でしたが、大場さんが住む山形でトレーニングがありました。自分としてはランニングぐらいでしょうか。山の中を走ったりしただけです。
寒さはどのように訓練したのでしょうか? 精神面では?
日本では、−50度の場所はないので訓練のしようがないのです。旭川に住んでいますので、「寒さに慣れる為ですか?」と聞かれますが、まったくそのようなことはなく、環境を変えたいと思ったからなのです。現地に行って身体をなれるようにしています。
精神面での訓練は、特にありません。自然と免疫がついてくるのではないでしょうか。
何がそれほどまでに荻田さんを掻き立てているのでしょうか?
常に自分が走っていたいのだと思います。
冒険に出るときにまず死ぬシチュエーションを常に考えています。どうなったら死ぬのか。死なない為にはどうするのか。どうゆう経験や技術が必要なのかを考えています。
自然の中から生まれる勘の鋭さや、計算外のことが起こった時の瞬発力や経験が、冒険の中で活きてきます。
死の恐怖は、常にあります。また、一方では、自分は絶対死なないと思っています。
北極にいくことは、手段であって目的ではないのです。自分の目的は「幸せになりたい」ということなのです。一生懸命走っていたい。その過程が自分にとっては重要なのです。
その後の成長もあります。でも、人に伝えたいことではないのです。それは、自分の価値観の押し売りにすぎないと思っています。感動することを伝える必要はないと思うのです。
人と違うものをやりたい。走っていたら、人がやらないことをやっていたということです。
死ぬ時に後悔はしたくない。その為にどう生きるかということです。
北極点をめざしていますが、南極には興味がありませんか?
残念ながら、今年は北極の海氷の状況が良くなく断念しましたが、来年に再挑戦したいと思っています。
北極点を成功したら是非、南極にも行ってみたいと思っています。南極は、北極と比べると比較的、楽に横断することができると思いますので、今までに誰もやらなかった方法で挑戦してみたいですね。
これからは、どのような活動をしていく予定ですか?
現在は、学校関係や企業での講演、自分も関わっている財団法人などの活動をさらに積極的に行っていくつもりです。自分が冒険するだけでなく、若者や熟年層を北極に連れて行きたいと思っています。
■北極冒険家 荻田泰永さんのホームページ
http://www.ogita-exp.com/
≪取材後記≫
ちょうど、北海道へ出向いた折、荻田さんが旭川在住と伺い、お会いすることが叶いました。
そして突然のインタビュー依頼にもかかわらず、快く引き受けていただきました。
「一度決めたら必ず成し遂げる」という、一途な芯の強さとさわやかさとやさしさが印象的でした。
来年度の北極点無補給単独のご成功を心よりお祈り申し上げます。