知られざる地球の不思議さと手つかずの大自然を肌で感じる究極のエコツアー。地球の鼓動が聞こえる大地「南極」、
イヌイットの住民達、野生動物との出会いがある「北極」。何かを感じさせてくれる極地旅行。
個人旅行の旅だからこそ、他では味わえない感動が!
第一次南極観測隊に欠かせなかった樺太犬の地を12年ぶりに訪ねてみました。まずは、列車で札幌から最北の地、稚内へ。
稚内公園は昭和31年、南極探検隊が樺太犬39頭と共に8か月間の訓練を行った場所です。
「左右前後から強風が吹きつける高台は、南極探検前の訓練には絶好な場所であった」と犬ぞり担当の菊池先生(「南極物語」高倉健のモデル)から聞いていました。
私が訪れた4月下旬、気温は4~5度程。風が強く体感温度はさらに低く感じました。この公園内にその歴史を伝える記念碑が建てられています。
「南極地域学術観測隊 樺太犬供養塔」(右画像)は、南極大陸で命を落とした15頭の“犬ぞり隊”の霊を慰めるための慰霊碑。
稚内公園の犬ぞり訓練所跡地に、昭和36年(1961)10月に建立されました。
稚内一の観光スポットは、北海道本島最北の地「宗谷岬」。北緯45度31分22秒に位置し、サハリンの島影を遠望することができます。
その後、フェリーで利尻島へ。12年ぶりの再訪でした。
「利尻島」は日本最北の国立公園「利尻礼文サロベツ国立公園」に属し、日本百名山の一つ標高1721mの利尻山(別名「利尻富士」)があります。島内にある利尻島郷土資料館は、旧鬼脇村役場庁舎を再利用した歴史的建造物です。利尻の自然をテーマにしたジオラマや、原始古代から近代開拓期の島の生活、ニシン漁場での栄華などを再現した展示が見どころです。
南極観測隊と共に大きな役割を担った樺太犬13頭のうちの6頭がここ利尻の犬たちだったのです。利尻郷土資料館に、その当時の新聞記事やさまざまな展示が収められています。
利尻島出身の犬の名は、クロ、ジャック、ペス、シロ、ベック、ポチ。因みに稚内出身の犬の名は、ゴロ、タロ、ジロ、アカ。
この小さな郷土資料館で見つけた樺太犬の記事には驚かされました。稚内だけが南極越冬隊の痕跡が残っているところとばかり思っていたのに、この利尻出身の犬が多かったとは新たな発見でした。
そこで樺太犬について調べてみました。
「樺太犬」とは、アイヌなどに飼われていた犬で「カラフトケン」あるいは「ロスケイヌ」と呼ばれていたそうです。冬季には橇をひき、夏季には海岸で船を引くなど労役に駆り出したようですが、ときには、猟にも使われていました。当時は1,000頭ほどもいたとのことです。
利尻では、樺太犬は時代と共に活躍の場がなくなり、野生化して田畑や人間の出す残飯を荒らすようになり、厄介ものになってしまいました。そこで島民たちは毒肉や猟銃で野生化した犬たちを殺すようになり、ついには絶滅していったという悲しい歴史があります。
今回、利尻島の住民から話が聞くことができました。「樺太犬は昔、運搬など荷役として活躍てくれたが、閑散期には必要とされず、食料として犬鍋にしていた。私も小さい時によく食べていた」。
1912年(明治45年)白瀬中尉が南極で初めて南緯80°に達した際、樺太犬の橇が活躍していました。資料によると犬の1日の食料は、生魚約4Kg。労役後に1度、与える習慣となっていました。飲料水は、雪をなめて得るなど、非常に耐乏性があり、16日間絶食してなお行動することができるといいます。耐寒性が強く、冬季でも犬舎が必要ない犬でした。
労役の犬の特徴は、体高に比して体長は長く(50㎝:59㎝)比率にして100:118。また胸囲が大きく体高100につき126.5(シェパードは100:119.2)。雪上の行動を助けるため足の指間には、豊富な長毛があります。立ち耳が多いそうですがまれにたれ耳もいます。牽引力は大変強く、一頭でも50Kgの橇を曳いて走ることが可能。一般には10頭前後を一組として橇を引き、約600Kg積載の橇なら1日平均約24Kmを毎日走ることができます。
こんなにも力強く忍耐強い犬だからこそ、南極探検で素晴らしい活躍ができたのです。純血の樺太犬が絶滅してしまったことは残念でなりません。
礼文島は、稚内市の西方60キロメートルの日本海に位置する最北の離島です。利尻礼文サロベツ国立公園に属し、約300種類の高山植物が咲く「花の島」と呼ばれています。島内を満喫するトレッキングコースが7つあります。
礼文島へも足を延ばしてみました。今回は「桃岩展望台コース」を歩きました。このコースは島に咲くほとんどの花と利尻富士を眺めることができる、礼文島を代表するオススメのコースです。時期早々の為、多くの花にはであえませんでしたが、お天気に恵まれ6種類の花の観察ができました。
是非、チャンスがあれば、日本の最北端の島にお出かけください。お薦め致します。
2024年5月10日
トライウエルインターナショナル㈱ 田島 和江
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