知られざる地球の不思議さと手つかずの大自然を肌で感じる究極のエコツアー。地球の鼓動が聞こえる大地「南極」、
イヌイットの住民達、野生動物との出会いがある「北極」。何かを感じさせてくれる極地旅行。
個人旅行の旅だからこそ、他では味わえない感動が!

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2009年〜2010年にかけて2カ月間を南極圏の船上で生活し、南極ツアーの通訳兼アドベンチャーコンシェルジェとして活動していた坪倉さんが、<南極の魅力>をご紹介します。

坪倉 祥恵 さんプロフィール


南極半島ツアー10日間・12日間クルーズのハイライト
南極はだれの期待にも、または期待以上に応えてくれる場所

 

このツアーの行程は大まかにはアルゼンチンのウシュワイアからドレーク海峡を経て南極半島に至り、そこで6日間または8日間過ごすというものです。

南極のツアーは天候や氷の状況に左右されることが多く「絶対にこのような行程になります」ということは言えません。でも、だからこそ、それぞれ一回一回のツアーが全く違った感動と体験を伴うことになるのですが。お客様から明日はどこに行くのですか? と質問をされて答えられないこともよくありました。ただ、びっくり箱のような感じでそれはそれで面白いと思っています。

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「南極ツアーに期待するものは何ですか?」

「どうして南極に行こうと思ったんですか?」

私が最初によく聞く質問です。単純な興味ということもありますが、それよりも、一人ひとりが一体何を南極に、この南極ツアーに求めているのかということはガイドするうえでとても重要なことだからです。南極にいくというのは、だいたいの人にとっては一生に一度のことだし、行くことを決心し実行に移すまでにはそれなりの時間がかかっていると思うのです。その気持ちを大切に、求めていることが実現できるように、できるだけ一人一人にオーダーメイドのツアーができるように、というのが、2ヶ月間私の働いてた船会社(ワンオーシャン・エクスペディションズ)が大切にしていたことの一つでした。
南極ツアーに期待すること、野生動物(ペンギン・クジラ・アザラシなど)・氷、景色、とにかく何でも・・・と人によって様々な答えが返ってきます。そして、2ヶ月間南極ツアー船で過ごした今、南極はだれの期待にも、または期待以上に応えてくれる場所だと思っています。

(写真)南極半島における夕日/最期の12日間のツアーは本当に天気に恵まれて、きれいな夕日をたくさん見ることができました。この日は、この夕日とザトウクジラの共演が見れて、乗客と一緒に興奮してしまいました。

 

まず、野生動物

世の中にはこんなにペンギン好きの人がいたのかと思った時もありましたが、ペンギンは文句なくかわいいです。南極半島へのツアーで見れるペンギンはジェンツー、アデリー、チンストラップの3種類があげられます。ペンギンを見たくてツアーに参加する人は、時期をしっかり考えたほうがいいです。なぜならシーズン後半になると親ペンギンは海に帰ってしまうからです。コロニーも多少閑散としてしまいます。羽が生え換わっている途中の雛はコミカルですが、やはり親子のショットを見たいと思う人が多いのではないかと思います。ならば、1月から2月中旬が一番です。親の足の間にかわいい雛がいる姿を見ることができます。雛はどんどん成長していくので、もし食べものを求めて親を追いかけている雛、必死に逃げていく親をみたければ、終盤がいいのではないかと思います。それぞれの時期に違った姿が見られます。お勧めとしては、1羽のペンギン、または1家族のペンギンに注目して見ていると、ドラマが見られて面白いです。

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次に人気なのはクジラ。クジラが見られるかどうかは運によります。ただ、私が参加した4つのツアーで見られなかったことはないので、見られる確率は高いのではないかと思います。ただ、近くで見られるか、どれだけみられるかというのはやはり運とあとはどれだけ皆が一生懸命探すかにかかっています。クジラを見るのが目的の人でしたら、シーズン終盤に行くのがいいです。2月下旬から南極海でクジラの餌であるクリルという小さなエビがとても豊富になるのでクジラが集まってきますし、おなかいっぱいになっているクジラは好奇心が旺盛になることがあります。こちらに興味を持って近づいてくれる確率が高くなるのです。大きな船から(といいましても、私の乗船していた船は乗客100人未満(クルーは別)のそれほど大きくない船ですが)見るのもいいですが、ゾディアックという上陸に使うエンジン付きゴムボートで見るクジラには感動します。本当に手が届くくらいのところにクジラが来ることもありましたし、バブルフィーディングというクジラのオキアミ漁を見ることもできました。大きな船からでもクジラが接近してくることもあり、潮吹きの水をかぶった乗客もいました。シャチの群れに会うこともあり、乗客の皆さんもキャビンで落ち着いている暇がないとうれしい悲鳴をあげていることもありました。よく見ることのできるクジラはザトウクジラミンククジラです。

(写真)ザトウクジラ/豪快な潮吹きに歓声があがります。

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他によく見られるのが、あざらしオットセイです。ウェッデルアザラシ、豹あざらし、南極オットセイ、ゾウアザラシ、カニクイアザラシなど、見ることができます。見たときはだいたい氷の上や陸地で休んでいる時なので、とても癒されます。そして、氷の上のあざらしを探すのも宝探しのようで面白いですよ。「あそこにいるのあざらしじゃないですか」との乗客に対して「あれはロックアザラシ(つまり、石)」とガイドがお茶目に答えたりすることも多かったですけれど。

(写真)南極オットセイ/見ている分には可愛いオットセイですが、かなり攻撃的。

南極で動物に出会って驚くのは、人間を全く怖がらないというより無視していることです。この環境を守っていかなくてはと心から思いました。南極に行く前に船の中で南極条約についての講義が行われます。これは義務化されていて、絶対に南極に受けなくてはいけないものです。そこで、南極における注意事項を学びます。ペンギンからは5M以上、あざらしからは10M以上離れていないといけないなど、南極の自然を守るために最低限必要なことが話されます。だいたい南極に行かれる方はそういった意識の高い人が多いので、問題はほぼありませんでしたが、こういったことをしっかり守っていくことの重要性は南極の自然に触れると、より高まります。 

南極へ行く目的に「自然」や「景色」を挙げる人も多いです。そして、これも期待を裏切りません。まず、氷の色に感動します。写真でみたことがあっても、わかっていても、あの青とも緑ともなんともいえない、そして同じものが2つとない流氷の色、形は見ていてあきることがありません。

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そして、南極でのアクティビティーとしてカヤックハイキングがあります。カヤックには私は参加していないので何とも言えませんが、参加された方はゾディアックでも行けないようなところに入っていったり、より、自然を近くから堪能することができ、大きな感動を得て戻ってくることが多くうらやましいと思いました。ハイキングはピクニック気分のものもあれば、かなり本格的な登山に近いものもあります。どれに参加しても、楽しめることは間違いないです。そして、大変な時もありますが、それに見合う景色が待っています。また、雪・氷の状態にもよりますが、自然のそり滑りに興奮します。皆子どもに戻って自分の体一つで滑って行きます。これは、本当に楽しいです。私はへたくそで途中で回転してしまって、下に着いたら頭からだったとかありましたけど。

(写真)Cuvervill Islandでハイキングをしての登った山頂/ハイキングはかなり急で下を見てはいけないと思ったりもしましたが、その後眼下に広がった景色には息をのみました。

そしてもうひとつ、寝袋を持って南極大陸の上で一晩キャンプというアクティビティーがあります。南極でキャンプと聞いて、どういうことを思い浮かべるでしょうか。これもまた皆が子どもに戻ること間違いなしです。雪合戦が始まったり、そり滑りが始まったり・・・。夏の南極は夜まで明るいので皆思いっきり楽しんで、眠りにつきます。防寒はしっかりしていかないと寒いことは間違いないですが、寝袋で眠っている間にあざらしが乗客の間をのそのそと移動していったり、アザラシの息遣いが聞こえたり、星が見えたり、忘れられない思い出になることは間違いないと思います。

さて、皆が気にするドレーク海峡のクルーズですが、荒れるか荒れないかは運次第です。私が参加した中で一番荒れた時はテーブルの上のお皿が横滑りして落ちていったり、乗客が座っている椅子がすーっと横に滑っていったり、ドリンクを運ぶのがかなり危険な作業だったりしましたが、ブリッジから見る波に驚くとともに感動しました。船酔いに関しては、酔い止めの薬を持っていくことを強くお勧めします。私は乗り物に酔いやすいたちなので、いつも前もって服用していました。だた、荒れている海も楽しもうと思えば楽しいです。まっすぐ歩けないですし。

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行きも帰りも2日間ずつ海の上で一日過ごすことになるわけですが、その間も退屈するということはありません。スタッフには動物の専門家や歴史家などがおり、毎日プレゼンテーションをします。南極で出会うであろう、または、出会った動物や、南極探検の歴史など勉強するのは楽しいものです。私も時間がある限りは参加するようにしていました。知識を増やすことによって、より楽しみが増えていきます。外を眺めているだけでも退屈しません。特にバードウォッチングが好きな方だったら、なんとも言えないと思います。

(写真)一日の仕事終了後、綺麗な空気を吸いに外に出たところ、まんまるのお月さまに遭遇。

さて、船の上の料理はどんななの?というのも気になるところだと思います。私が乗船した船にはシェフもパティシエも乗っていて、おいしい料理を楽しむことができました。好き嫌いはあるかも知れませんが、私は2ヶ月間で太ってしまいました。

以上のように、南極ツアーにはさまざまな見どころや魅力があり、同じツアーに参加しても同じことが起きるということはほぼありません。私は約2ヶ月間乗船し、4回のツアーに参加しましたが、どのツアーも印象深く新鮮でした。

「南極に期待するものは何ですか?」

それをかなえられるツアーにたくさんの人が出会って、環境を大切にしつつ自分独自の南極ツアーを楽しんでほしいと思います。

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コース紹介


注)すべてのコースは、海外主催会社が催行する旅行ツアーとなります。お申込みにあたり、自己責任の上でのご参加となりますことご承知おきください。