「タロ・ジロ」にまつわる話 (8)指向性アンテナの設定方向

宗谷が定着氷に接岸して荷揚げ作業が続行中、「越冬を許可する第一条件」として永田隊長と東京の茅本部長は「日本と通信が出来る状態になったら」と決めた。
ヨーシ。そんなら発電機と無線機をまず起動させ、アンテナをたてて、露天でもいいからまず日本と通信しよう、と言うことになった。
アンテナをたてるに当たっては、博識の立見隊員、通信の佐久間隊員や宗谷の通信士などが中心になってのマニュアル片手の素人作業だ。


南極調査隊・第一次越冬隊その時「大きい問題」が発生した。
「逆V型、指向性アンテナの方向は90度」とメーカーのマニュアルに書いてある。 
「何?90度?」 「東の方向?」 
「そんな事ないだろう」 
「まさかアメリカに向けて?」
「日本は千葉・銚子だよ」 
「北東方向と言うのだったら解るがね?」 

(写真)犬ぞり隊用の送受信機。東通工(後のソニー)製

南極観測隊・第一次越冬隊

けんけんがくがく。
地質屋ならと私にも問い合わせがきた。わたしにも解らない。
とうとう最後に「マニュアルが間違っている」と言いだして、ともかく日本に聴いて見ようと言うことになり、宗谷の無線で問い合わせた。
ところが日本からの答は無情だ。
「マニュアル通り実行せられたし」。

(写真)凧はアンテナ。とても有効でした。左は北村泰一隊員

 

そこで 地球儀を取り出し、よくよく眺めてみると、昭和基地から銚子の方向は緯度線に沿って接線方向になり、90度で間違い無いことを発見。
皆で大笑い。 
「日本から選りすぐられた科学者ってこんなものかね?」と誰かがいっていた。

 

菊池 徹 (1999.01.19)


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